何度かブログにも書きましたが、わが伊勢崎市にも世界遺産が誕生しました。明治初期に日本の産業を支えた養蚕。その養蚕農家を支える技術を考案し、実証した田島弥平旧宅が、富岡製糸場とその他の関連施設とともに登録されたのです。
調べて頂くとわかるのですが、伊勢崎市にある田島弥平旧宅は、利根川の向こう側、埼玉県本庄・深谷側にあります。島村というエリアなのですが、訪れた方は なぜここが群馬県なのか不思議に思うかもしれません。利根川に今のような大規模な堤防がなかった頃に、中洲がいくつかあり、その中に村があったようです。 大正時代に今のような姿になったとのこと。それ以前の島村は中州を挟んで南北で、一つの村落として存在していたようです。それゆえ群馬県伊勢崎市から見れ ば、向こう側にも伊勢崎市があるし、群馬県側にも埼玉県が利根川土手沿いにあります。興味深いですよね。
島村地区は利根川があまりにも氾濫するので、畑がやられ、でも桑の木だけは強く、水が引けばまた新芽が出てくるということで、養蚕が盛んになったと聞きま した。子供の頃、このあたりの友達の家に遊びにいくと、だいたい養蚕農家をやってるかやっていたか、あるいは機織機があってお母さんが機を織ってるとか、 そういう感じでした。桑畑はあちこちにあって、その実は腹を減らした食べ盛りの子供たちのジャンクフードでありました(笑)。「どどめ」って呼んでいて、 口に含むと甘酸っぱいジュースが溢れて、けっこういけました。まあ良く言えば野趣溢れる味でしたね。(このどどめを食べたという体験は、このあたりの40 代以上の人ならほとんどが経験している共通体験です。)
世界遺産のある島村エリアがクローズアップされたのを機に、たまたま関連図書が出ていたのを思い出しこんな本をアマゾンで購入しました。
子供向けの本ですが、これを読むとこのあたりの蚕種農家・養蚕農家がいかに先進的で、経済的に潤っていたかわかります。このあたりの農家がお金を出し合っ て、明治初期で会社を設立し、イタリアに三井物産の資金で店舗を構え、人を派遣し、駐在させ、銀座8丁目に店を持ってたって、どういうことでしょう??? ちなみに現在(いまのところ)田島弥平旧宅の回りには一軒の商店もありません。自販機があるだけです。
この本の中で、日本資本主義の父である渋沢栄一は、近所の「渋沢さん」として登場するし、すごいですね。どんなことでも、伝えていく人、物がないと、どんどん廃れて霞のかなたに消えていくということなんでしょうね。
ネタばれしちゃうのでいいませんが、この本の主人公は意外な場所で意外なことをします。仕事等でそのエリアへ行くことも結構ありますので、またその地を訪 れた際には郷土の先人が活躍された場所なのだなと思うことでしょう。世界遺産 富岡製糸場と絹産業遺産群に訪れた方、ご興味がある方は是非一読下さい。
ちなみにこの作者橋本由子さんですが、「すきとおる草ムジナモ」という本を書いています。子供のころ、何度も何度も読みました。今は絶版ですが、自分の中では大人になった今でも大好きな1冊です。ブックオフに行くたびに探しますが、ないですね~。
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